
企業情報
企業名:有限会社向陽缶機
代表者:磯田 智之
業 種:製缶板金
創 業:昭和59年5月
所在地:本社 中新川郡上市町神田
立山工場 中新川郡立山町辻
企業概要
有限会社向陽缶機は、制御ボックス、配電ボックスなどの制御盤板金を行う製造業者です。昭和59年に先代が個人創業し、昭和61年に法人成り。以来、制御盤・配電盤の躯体制作を中心に事業を展開してきました。長年の経験から培った独自のノウハウを強みに、現在では県内トップクラスのシェアを誇っています。
平成20年には現代表者の磯田智之社長が経営を引き継ぎ、令和3年6月には立山工場を新たに稼働。
多品種小ロット生産で設計から完成までを一貫して行える体制を有しており、「高品質・低コスト」「短納期」が実現できる点は、同社が長年にわたり顧客から高い信頼を得ている理由のひとつです。
カイゼン塾について
当協会では、地域の中小企業者に対する経営支援の取組みとして、セミナー等を実施しております。令和7年度は、昨年度に引き続き株式会社ペック協会にご協力いただき、当社をモデル企業として、製造現場の業務改善を目的としたカイゼン塾を開催しました。
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富山県信用保証協会への相談経緯
社内の改善に対する想いは以前から持っていて、これまでもコーチングなどのコンサルを導入したことがありました。しかし、現場に即した内容ではなかったため、なかなか社内に浸透せず、改善が進まない状況が続いていました。今後どう進めるべきか悩んでいたところ、金融機関の担当者から保証協会のカイゼン塾モデル企業の提案を受けました。実際に当社の現場を見ていただくことに対して不安もありましたが、前回のカイゼン塾が好評だったというお話を聞いて、立山工場の現場改善に本格的に取り組むことにしました。

カイゼンの流れ
カイゼン塾では受講者がA班、B班に分かれ、「リードタイム短縮」を目標に、A班は進捗管理板、工場配置図の作成、B班は組立から出荷までの現場改善に取り組みました。
【カイゼン前】
・進捗状況を把握しているのは一部の人間のみ
・情報共有が不十分で、納期遅れが発生するケースもあった
↓
【カイゼン後】
・誰が見ても分かる進捗管理表と工場配置図をホワイトボードで作成
・溶接、塗装、組立工程を色分けし、マグネットで進捗を可視化
・作業の進捗に合わせマグネットを動かす運用に変更
・工場配置図には作業担当者の名前も記載し、「誰が作業しているのか」、「部品がどこにあるのか」が即座に把握できるようになった


【カイゼン前】
・部品や製品の置き場が明確に決まっておらず、必要な物を探すのに時間がかかっていた
・物が見つからない、紛失するなどのトラブルが発生
・使用しない部品が放置されており、スペースを圧迫していた
↓
【カイゼン後】
・部品棚を入口側に移動させ、作業動線をカイゼン
・製品ごとに使う部品をタッパーに分けてセットし、組立場まで一緒に流れる仕組みを構築
→部品を探す手間が大幅に削減
・棚の上段を「その日に使う分」というように定義し、使われていない=進捗が遅れているというように、進捗の異常が一目で把握できるルールを設定
・棚の移動に合わせて、部品を整理したことで、無駄な部品を処分
→スペースを確保、現場がすっきりした。


カイゼン塾の感想
社内に外部の方が入ってこられることについて、はじめは不安がありました。しかし、カイゼン塾が始まってみると、外部の人に見てもらうことで、自分たちだけでは気づけなかった問題点が明らかになり、思い切って参加してよかったと思いました。
自社だけでは改善に取り組むのは難しかったので、カイゼン塾という“取り組まざるを得ない環境”が整っていたことはありがたかったなと思います。
そして何より、自分の中で「改善を意識する視点」が生まれたことが最大の成果だと感じています。
こうした意識の変化をきっかけに、カイゼン塾終了後には、数値面での改善を目指して、協会の専門家派遣を活用して、経営改善計画の策定にも取り組みました。カイゼン塾で得た気づきが、次のステップにつながっていると実感しています。
今後の展望
カイゼン塾を通じて、改善の進め方や考え方を学ぶことができ、少しずつ前向きに取り組めるようになってきました。今後は自分だけでなく、社内全体で一体感を持って改善に取り組んでいけるような風土づくりを目指していきたいと思っています。部署の垣根を越えて、些細なことでも気軽に意見を出し合えるような職場環境をつくることが理想です。
カイゼン塾終了後も、PEC協会の方には相談に乗ってもらっているので、そうした外部の専門家の意見も取り入れながら、徐々に取り組みの幅を広げていけたらいいなと思います。
営業面では、県内のお客様だけでなく、県外にも販路を広げ、より多くのお客様に当社の製品・サービスを届けられる体制を整えていきたいと考えています。

担当職員の声
磯田社長をはじめ向陽缶機の皆様のご協力により、5か月間のカイゼン塾を無事に実施することができました。期間中は生産管理表の作成、棚の移動を中心としたレイアウト変更など、塾生の方と一緒に多くの取組みを行っていただきました。各回の質疑応答でも率直なご意見を頂戴し、感謝しております。カイゼン塾が、現場の改善意識が芽生えるきっかけになっていれば嬉しく思います。今回の経験を今後の支援にも生かしてまいります。
PEC協会担当者の声
昨年度に引き続き、富山県信用保証協会主催の「カイゼン塾」において、講師として有限会社向陽缶機の改善活動に関わる機会をいただきました。改善の醍醐味は、新たな設備や人員を増やすのではなく、現在ある機械・モノ・人材を活かしながら作り方を見直し、ムダを取り除くことで原価低減へと経営効果につなげられる点にあります。
今回の実践企業である有限会社向陽缶機では、「リードタイム短縮」を旗印に、出荷工程を中心とした改善に取り組みました。塾生はA班・B班に分かれ、A班は進捗管理板の作成や現物表示による“目で見る管理”を実施。B班は同梱部品の一元管理と、それに伴うレイアウト変更を行いました。これにより、誰もがモノの進捗や正常・異常を一目で把握できる現場が実現しました。
その結果、経営効果として粗利40%増、製造原価5%減という大きな成果を得ることができました。今後も本活動を契機として、さらなる経営改善が進んでいくことを期待しております。


