高い加工技術と品質管理を強みに販路を開拓 新規取引先獲得により増収増益を実現

株式会社 田中工業

企業情報

代表者:田中 勝利 
企業名:株式会社田中工業
業 種:金属製品加工業
創 業:平成2年 
所在地:本社 富山県富山市開
    工場 富山県中新川郡立山町日俣

企業概要

株式会社田中工業」は、平成2年7月に個人事業として創業。平成11年4月に法人化し、平成12年5月に現在の立山町に工場を新築移転、平成30年5月に工場を増設しました。創業以来、主に製缶加工に特化し、現在まで事業を継続してきました。
当社の製缶加工工程は、切断、溶接や、筐体組立ですが、少人数体制のため、技術者の多能工化を進めています。CAD設計を自社で行い、機械等の加工設備も充実しているため、顧客の要望にフレキシブルに対応できるところや、品質管理や検査対応がしっかりしているところが強みです。

相談のきっかけ

受注額の8割強の構成比を占めていた大手産業機械メーカーの受注がコロナ禍で大幅に減少しました。大口受注先への依存から脱却するため、従前から自社で販路開拓は進めていましたが、コロナ禍により利幅が確保できる新規取引先の獲得が喫緊の課題となり、取引金融機関から保証協会の専門家派遣を受けることを勧められました。

株式会社 田中工業

専門家派遣の感想

下請け依存からの脱却のため、法人向け営業体制を強化することが課題でしたが、専門家からは強みを明確化し、アピールするためHPの動画作成や新世紀産業機構を活用したビジネスマッチングでの販路開拓の手法を提案してもらいました。当初は手探りの状態でしたが、専門家からのアドバイスに沿って一つ一つ行動していくうちに、徐々に営業に関するノウハウを蓄積でき、現在では新規開拓の営業は自走できるようになりました。
また、本題である販路開拓に関してのアドバイスもさることながら、困ったときにどこに相談すればよいかの情報も頂けたことが良かったです。どの機関がどのような支援を行っているのか知らなかったので、この機会に把握できたことは幸いでした。また、当時、設備投資も考えていたので、補助金の活用法も提案してもらい、借入を抑えた設備投資ができたので非常に助かりました。

結果

販路開拓の取組みにより、1社で受注の8割強を依存していた大手産業機械メーカーの割合は2割程度まで減少。新規取引先からの受注が増えたことで利幅も確保できるようになり、直近決算では増収増益となりました。受注の構成比が大きく変わったことで、収益の体質は非常に強いものになったと感じています。

株式会社 田中工業

今後の展望

後継者も育ってきているので、自分が65歳を迎えるころには社長を譲りたいと考えており、少しずつ事業承継も進めたいです。
また、人材が大事だと思いますので、従業員が安全・安心に働ける環境も整え従業員の定着を図りたいです。
そのためにも新規顧客の獲得について継続して取り組み、現状に満足せず事業を拡大しその過程の中でさらに技術を磨いていきたいと考えています。そうなれば、現在の工場では生産能力も限られているので、いずれは工場も移転できればと思っています。

富山県信用保証協会に相談してみた感想

保証協会は金融機関の融資に対して保証する機関と思っており、敷居も高く感じていましたが、相談してみた結果、資金繰りの支援のみならず、専門派遣事業をはじめとしたいろいろな支援を行っていることがわかり、現在は困ったときに相談できる窓口の一つになりました。

株式会社 田中工業

どのような支援を行ったか

社長様が新規取引先の開拓を課題として認識しておられたことから、専門家派遣事業により販路開拓に強い中小企業診断士を派遣しました。
専門家からは販路開拓の取組みに対するアドバイスや他の支援機関の販路開拓支援メニューの活用を提案させていただきました。
また、認定支援機関により策定された経営改善計画に基づき、経営サポート会議(協会主導のBKミーティング)を開催。取引金融機関の合意のもと、お借り入れを取りまとめし、毎月の返済負担を軽減することで資金繰りの安定化を図りました。
これにより、社長様が資金繰りを気にせず、事業に注力できるようになりました。

担当職員の声

田中社長様に最初にお会いした印象は、非常に行動力のある方ということでした。環境的にかなりきつい時期でしたが、下を向くことなく、何ができるかよく調査し、やれることから確実に実施しておられた姿が心に残っています。今回ご支援を通じて結果が伴ったのは、社長様はじめ社員の皆様の努力あってこその事と思います。引き続き、伴走支援として当協会が支えになれればと考えております。